らくうのBlog

LGBTQ+関連のあれこれ

なぜ同性婚は裁判で争わなければいけないの?

憲法第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である

この条文を理由として、国会は時代の変化に応じて憲法を元に必要な法律を作ったり、改正する義務があります。

いわゆる不正アクセス禁止法個人情報保護法など、憲法制定時に想定することができなかった法律も裁判が行われることなく成立してますよね。

国会が立法の義務を滞りなく行っていればよいのですが、「国会は法律を作る必要性を知っているくせに放置しすぎじゃない?」と思った国民が国会に伝える手段が裁判で、違憲訴訟と言われたりしますね。(ちなみに新たな立法だけでなく、改正を怠っても義務違反です)

ただ裁判の仕組み上、単に「放置し過ぎじゃない?」と訴えることができないので、国会が義務を怠ったことで不利益を被った、という立て付けで損害賠償請求訴訟という形がとられます。よく「金が欲しいだけだろ」という批判がありますが、そのような方法しかないだけで、後述の通り訴えが認められても多くの場合賠償金までは認められないので、お金の事だけを考えれば出ていくだけで入ってきません。

違憲訴訟の結果には次の5通りが考えられます。

1.合憲で立法する必要性もない
2.合憲で立法は国会の立法裁量権
3.合憲だが違憲状態
4.違憲だが賠償金は認めず
5.違憲で賠償金も認める

それぞれのケースについて考えてみましょう。

1.について、明らかに無理筋の訴えということですね。違憲訴訟の際には弁護士も携わるでしょうから、さすがにこのケースはほとんどないと思います。

2.について、立法裁量権といって、法律を作るかどうかは国会で検討しててもいいよってことで、放置してるとまではいえないということですね。

3.について、2.の状態ともいえるが、裁判を通じて立法の必要性が明確になったので、このまま放置すれば違憲になりますよという状態。

4.について、放置してないって言い訳はそろそろ通用しないけど、放置しすぎとまではいえないので賠償金を払うまでではないよということですね。

5.について、さすがに放置しすぎで言い訳はできないので、賠償金を払いなさいよということですね。

今回のいわゆる同性婚訴訟の地裁判決はどれにあたるのか?札幌、名古屋は4.ですね。大阪は2.ですが将来的には4.5.になる可能性があると言及されています。東京、福岡は3.ですね。報道では合憲とも違憲状態とも報じられ「法制度が存在しないことは重大な脅威で、個人の尊厳に照らして合理的理由はない」とされていて、大阪より厳しい判断になっています。

ということで、裁判しなくても同性婚が成立した可能性はあったけど、国会が義務をはたしていないと考えた人たちがいたので裁判が起こされたというのが現状ですね。

通常の流れだとそれぞれ高裁で審議し、最高裁の判決が出るのが2024年か2025年と予想されるそうです。最高裁判決を待たずに立法することも可能です。G7広島サミットの首脳宣言で「LGBTQIA+の人々の政治、経済、教育及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義ある参加を確保し」と宣言した以上、裁判を続けて無駄に予算を使うことも、国際的な約束を反故にすることも国益を損なうだけだと思います。
https://synodos.jp/opinion/society/28695/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA213340R20C23A5000000/