らくうのBlog

LGBTQ+関連のあれこれ

同性愛、他人ごとならいいけど、自分ごとだとね…

「他人ごとならいいけど、自分ごとだと…」というのは、同性婚やLGBTQ+のトピックでよく出る話題ですね。お気持ちは分かりますし、そう反応される方も少なくないでしょう。世界もそうでしょうが、特に日本は少数派だと生きにくいように感じますしね。

ただそれって、こういったトピックを見た後、数秒から長くて数分の反応だと思うんですよね。いわゆる同性婚訴訟の札幌地裁判決文の中で、認定事実として次の記載があります。

【同性愛は,現在においては精神疾患とはみなされておらず,さらには,性的指向の決定要因は解明されていないものの,人がその意思で決定するものではなく,また,人の意思又は治療等によって変更することも困難なものであることは,確立された知見に至ったということができる。そうすると,性的指向は,自らの意思に関わらず決定される個人の性質であるといえ,性別,人種などと同様のものということができる。】
https://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/177-1.html
※主な根拠にはWHO国際疾病分類(ICD)があります


以上のように同性愛って趣味を選んだり、進路を決めたりとは違って本人にはどうすることもできないんですよね。複数の男性同性愛者の話を聞いた事があります。多くの方が幼少期ないしは思春期に同性愛者である事を自覚し、なかにはそのまま受け入れる方もいますが、なんとか異性愛者になれないか努力、苦難した経験があると話される方も少なくありませんでした。よく「なんでもかんでも自由が認められると思うなよ!」みたいな意見を目にしますが、同性愛者の中には「同性しか愛せない不自由」に苦しんでいる人も少なくないんですよね、特に自覚したての思春期の頃は。ちょっと逆の立場で考えてみませんか?頑張って同性愛者になること、できるでしょうか?


他人ごととしてトピックを見て「自分が親なら嫌だろう」と数秒思うことはあるでしょう、しかし自分ごととして考えた場合、一生付き合わなくてはいけない課題なんですよね。子供が同性愛者だったら親子の縁を切りたいですか?そんな子供は要らないですか?もし心からそう思って、育児放棄児童虐待につながるなら、すぐに施設などへ相談して子供を手放してください。

多くの親は、それでも可愛い我が子なのではないでしょうか?客観的事実として時代は次のように変わっています。

広辞苑で「同性愛」の定義の変化
・「同性を愛し、同性に性欲を感ずる異常性欲の一種。」第三版(1983年12月発行)
・「同性の者を性的愛情の対象とすること。また、その関係。」第四版(1991年11月発行)

■WHO国際疾病分類(ICD)の変化
・「同性愛」の分類名が「性的逸脱及び障害」 ICD-9-CM(1979年1月)
・「同性愛はいかなる意味においても治療の対象とはならない」として精神疾患リストから除外 ICD-10(1993年)

岸田首相もG7広島サミットの議長国首脳として、次のように宣言しています。
「LGBTQIA+の人々の政治、経済、教育及びその他社会のあらゆる分野への完全かつ平等で意義ある参加を確保し」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA213340R20C23A5000000/

逆を言えば、過去において差別的に見てしまったことは、よくないものの仕方ないとも言えるんですよね。ただ確実に時代は変わっています。まだLGBTQ+当事者が何の不安もなく安心して暮らせる世の中とは言えませんが、ゆっくり確実に変化は進んでいます。こういった客観的事実を積み上げて、我が子を前向きに愛して欲しいなと思います。

 

以下、蛇足の余談なので無視していただいて構わないですが、少し書かせてください。
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知恵袋やヤフコメを見ていると心無い言葉をよく目にします。当事者、特に若い当事者やその親が目にするかと思うと悲しい気持ちになります。またいじめを行う子が自分を正当化する手段に使わないかと心配になります。現在、トイレやお風呂などの例を出して、差別禁止規定に断固反対という意見をみますが、上記の文章を踏まえれば明らかに野放しにしてはいけない発言があふれていることは確かだと思います。もちろん、トイレやお風呂の問題はルール作りが必要でしょう、それは関係団体もちゃんと言ってます。そういう一つの例で全部要らないというのは暴論ですよね。まず誰がみても放置してはいけない発言を取り締まるルールは必要だと思います。

そうそう、こういう不寛容な雰囲気だと、カミングアウトを受けた親が自分の育て方が悪かったのではないかと自責してしまうという話もよく聞きます。当事者、その関係者が、悩むことのない社会が実現したらと思っています。